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  社会との見えない壁
家庭教育を考えるとき、しばしば問題にされるのが核家族化だ。核家族の何が問題なのかというと、人とのつながりが希薄になってしまうことにある。例えば家族の中の世代間のつながり、あるいは地域の大人たちや年の離れた子どもたちとのつながり。
 核家族の場合、父親は仕事を通じてかろうじて社会とつながりを持っているが、母親と子どもは社会から隔絶されてしまいがちだ。幼稚園や学校を通してつながりが生まれたように見えても、それは幼稚園・学校という限られた社会の中でしかない。

親の価値観の中で育つ
 社会的な背景も変わった。かつての子どもたちは地域とのつながりを持ち、家には祖父母が同居し、多くの母親は家にいて家族の面倒を見ていた。それぞれの家族にそれぞれの文化があった。親に共通していたのは、「子どものためなら苦労はいとわない」「親と同じ苦労はさせたくない」という思いだ。その反面で、「かわいい子には旅をさせよ」のことわざ通り、子どもに苦労をさせることの必要性も分かっていた。
 「子どもに苦労はさせたくない」という思いは今の親も変わらない。ただ、その方向性が変わってきているのかもしれない。
 今の親たちはいい高校、いい大学へ入ることに価値を置かれて育ってきた人が多い。核家族の中で育ち、家族の役割分担を与えられることは少ない。掃除や洗濯、炊事を手伝う必要もなかった。そのため一元化された価値観を持っている。いい高校、大学へ行った者は勝ち組で、挫折した者は負け組。親はこの価値観のもとで二極化され、子どもたちもまたその価値観を引き継いでいく。

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  日常が作る気力と体力
 理想的な家庭教育とはどういうものだろうか。学問に王道がないように、理想的な家庭教育の答えを見つけることは難しい。しかし、理想がどういうものであっても、それを実現させるために欠かせないものは気力と体力。そのベースにあるのは健康的な生活だ。
 早寝早起き、正しい時間の食事、快眠快便の習慣をつけること。「そんなことは教育以前の問題」と思う人もいるかもしれないが、今の社会、これを実践している家族がどのくらいいるのか。どれも親が不規則な生活をしていては実行できないことなのだ。


遠回りを認めることも「大切」
 これからの社会で生きていくためにも、家庭で子どもたちに身につけてほしいのは学力ではなく生きていくための力。傷つき、悩み、落ち込んでも、それに負けない力を獲得することだ。そういうことは人生では無駄なことだと考える人もいるだろう。しかし、若いときの無駄が大人になってから役立つこともある。教育において大切なのは最短距離を走らせることでなく、遠回りをいとわないことなのかもしれない。
 人間はどんな苦境にあっても、世の中に一人でも信頼できる人がいれば乗り越えることができるという。子どもたちにとって、家庭がそういう存在であることが求められている。

総務庁統計局「国勢調査報告」の世帯人員総数の推移を見ると、1950年は一世帯当たりの平均世帯人員が5.02人だったのに対し1995年は2.85人。核家族世帯は全体の6割近くにもなり、逆に親と子ども祖父母などが暮らす世帯は1割程度だ。また、総理府が1990年に行った「家庭教育に関する世論調査」によると、日常的な子どものしつけをしているのは、女性も男性も8割以上が母親と答えている。家庭教育に父親の姿はなかなか見えてこない。

このコーナーでは皆さんの体験談、ご意見を募集いたします。
「私のうちは大家族」など色々なお話をお待ちしております。
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